「会社を辞めたら失業保険はもらえる?」
「自分はいくらくらい受け取れる?」
「ハローワークでは何をすればいいの?」
仕事を辞めることになったとき、気になるのが失業保険ではないでしょうか。
失業保険は一般的な呼び方で、正式には雇用保険の「基本手当」と呼ばれます。
ただし、退職した人なら誰でも自動的にもらえるわけではありません。
雇用保険への加入期間や退職理由などの条件を満たしたうえで、ハローワークで手続きをする必要があります。
この記事では、失業保険の基本的な受給条件から、受け取れる金額の考え方、手続きの流れ、自己都合退職の場合の給付制限まで初心者向けに整理します。
※この記事は2026年10月時点の公的情報をもとにしています。制度は変更されることがあるため、実際に手続きするときはハローワークや厚生労働省の最新情報も確認してください。
失業保険とは?
失業保険とは、仕事を辞めた人が次の仕事を探している間の生活を支えるための制度です。
正式には「雇用保険の基本手当」といいます。
厚生労働省によると、働く意思と能力があり、求職活動をしているにもかかわらず就職できない「失業の状態」にある人などが対象です。
つまり、
「会社を辞めた=すぐに失業保険がもらえる」
というわけではありません。
次の仕事を探す意思があり、実際に求職活動をすることが基本的な条件になります。
失業保険をもらうための主な条件
基本手当を受けるには、主に次の条件があります。
1. 働く意思がある
「しばらく仕事をするつもりはない」という状態では、基本手当の対象にならない場合があります。
例えば、退職後にしばらく休養してから仕事を探す予定の場合は、通常の失業状態とは扱われません。
2. すぐに働ける状態である
病気やけがなどですぐに働けない場合も、通常の基本手当を受けられない場合があります。
3. 求職活動をしている
ハローワークなどで求職活動を行い、再就職を目指していることが必要です。
4. 雇用保険の加入期間を満たしている
原則として、離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です。
ただし、倒産・解雇などの「特定受給資格者」や一部の「特定理由離職者」は、離職前1年間に6か月以上あれば受給資格を得られる場合があります。
失業保険はいくらもらえる?
ここが一番気になるところかもしれません。
基本手当の日額は、原則として退職前6か月に支払われた賃金をもとに計算されます。
基本手当日額は、賃金日額のおよそ45~80%が目安ですが、年齢などによる上限・下限があります。
2026年8月1日以降の基本手当日額は、制度全体では2,562円~9,110円の範囲です。実際の金額は年齢や退職前の賃金などによって変わります。
そのため、
「月給30万円だったから失業保険も30万円もらえる」
という仕組みではありません。
自分の金額を確認するには
正確な金額は、退職前の賃金や年齢などをもとにハローワークで確認するのが確実です。
ネット上の簡易計算だけで判断せず、実際の受給手続きではハローワークの案内を確認しましょう。
何日間もらえる?
基本手当を受け取れる日数は、全員同じではありません。
主に、
- 離職理由
- 離職時の年齢
- 雇用保険の被保険者期間
などによって決まります。
一般的な離職者では90日、120日、150日などの区分があります。
一方、倒産・解雇などによる離職者や就職が困難な人などは、より長い給付日数になる場合があります。
「自分は何日もらえるのか」は、退職理由と年齢、雇用保険の加入期間を確認する必要があります。
自己都合退職だとすぐにもらえない?
自己都合で退職した場合、一定期間の給付制限があります。
現在は、2025年4月1日以降に退職した場合、正当な理由のない自己都合退職では原則1か月の給付制限となっています。
まず、ハローワークで受給資格の決定を受けた後、7日間の「待期」があります。
その後、原則1か月の給付制限があります。
ただし、過去5年間に2回以上、正当な理由のない自己都合退職で受給資格決定を受けている場合などは、給付制限が3か月になることがあります。
「自己都合退職」でも、退職理由をハローワークに相談してみる
ここは私自身の体験です。
私は、家族の介護が必要になったことを理由に仕事を退職しました。
退職時に会社から受け取った書類では、退職理由は「自己都合」となっていました。
そのため、最初は「自己都合退職なら、通常どおり給付制限があるんだろうな」と思っていました。
ところが、ハローワークで失業保険の受給手続きをした際に、担当の方へ「家族の介護が理由で退職しました」と事情を話しました。
すると、退職した理由について確認してもらい、私の場合は特定理由離職者として扱われることになりました。
診断書などは準備していませんでした
私の場合、退職するときに「ハローワークで診断書が必要になるかもしれない」と考えて、診断書などを準備していたわけではありません。
実際にハローワークで手続きをした際も、私の場合は診断書の提出を求められませんでした。
ただ、ここは注意が必要です。
「家族の介護なら診断書は必要ない」という意味ではありません。
特定理由離職者に該当するかどうかや、どのような資料が必要になるかは、退職した事情によって異なります。
私の場合は、まずハローワークの窓口で家族の介護が退職理由だったことを説明し、その事情を確認してもらいました。
会社の書類だけで諦めないことも大切
今回の経験で私が感じたのは、会社の書類に「自己都合」と書かれていたとしても、実際の退職理由についてハローワークに相談してみることは大切だということです。
家族の介護など、やむを得ない事情によって退職した場合は、一般的な自己都合退職とは別の扱いになる可能性があります。
もちろん、誰でも特定理由離職者になるというわけではありません。最終的には、本人から事情を聞いたうえで、必要な確認を行い、ハローワークが離職理由を判断します。
もし私と同じように、家族の介護などを理由に退職した方で、会社の書類では「自己都合」となっている場合は、「自己都合だから仕方ない」と最初から諦めず、ハローワークの窓口で退職した事情をきちんと伝えてみることをおすすめします。
私自身も、最初は会社の書類だけを見て自己都合退職だと思っていましたが、実際に事情を話してみたことで、退職理由の扱いが変わりました。
※ここで紹介しているのは私自身の体験です。特定理由離職者に該当するかどうかや、必要となる書類・確認方法は個々のケースによって異なります。
会社都合退職ならどうなる?
会社の倒産や解雇など、本人の意思によらない離職の場合は、自己都合退職とは扱いが異なる場合があります。
「特定受給資格者」などに該当すると、受給資格や給付日数について有利な扱いになる場合があります。
ただし、会社から渡された離職票の内容だけで自分で判断する必要はありません。
離職理由に納得できない場合は、ハローワークに相談できます。
例えば、
「会社から退職を勧められたのに自己都合になっている」
といったケースでは、ハローワークが事実関係を確認して離職理由を判断します。
失業保険をもらうための手続き
大まかな流れは次のとおりです。
STEP1 会社を退職する
退職後、会社から「雇用保険被保険者離職票」が届きます。
離職票は「-1」と「-2」があります。
会社から離職票が交付されない場合は、住所地を管轄するハローワークに相談できます。
STEP2 ハローワークで求職申込みをする
住所を管轄するハローワークで求職申込みを行います。
その後、離職票を提出して受給資格の確認を受けます。
STEP3 受給資格が決まる
ハローワークで、
- 受給資格
- 離職理由
- 所定給付日数
などが確認されます。
STEP4 7日間の待期
受給資格決定後、失業状態が通算7日間続く「待期」があります。
この7日間は基本手当の支給対象になりません。
STEP5 必要に応じて給付制限
正当な理由のない自己都合退職の場合、原則1か月の給付制限があります。
STEP6 求職活動を行う
次の仕事を探しながら、ハローワークで必要な求職活動を行います。
STEP7 失業認定を受ける
原則として4週間に1回、ハローワークで失業認定を受けます。
STEP8 基本手当が支給される
失業状態が認定されると、基本手当が支給されます。
ハローワークに持っていくもの
基本手当の受給手続きでは、主に次のものが必要です。
- 雇用保険被保険者離職票-1・2
- マイナンバーが確認できる書類
- 本人確認書類
- 写真2枚
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
ただし、マイナンバーカードの提示などによって写真が省略できる場合があります。
必要書類は個々の状況によって異なる可能性があるため、実際に手続きする前に管轄のハローワークへ確認しておくと安心です。
求職活動は何をすればいい?
失業保険を受け取るためには、ただ求人を見るだけではなく、認められる求職活動を行う必要があります。
例えば、
- 求人への応募
- ハローワークでの職業相談
- 職業紹介
- セミナーへの参加
- 民間の職業紹介機関での職業相談
などが求職活動実績として認められる場合があります。
一方で、インターネットで求人を眺めるだけでは、求職活動実績として認められない場合があります。
「求人を見たから大丈夫」と自己判断せず、ハローワークの案内を確認しましょう。
失業保険を受け取っている間にアルバイトしてもいい?
「失業保険をもらっている間は、一切働いてはいけない」
と思っている人もいるかもしれません。
しかし、アルバイトなどをした場合でも、条件によって扱いが異なります。
重要なのは、働いたことを正しく申告することです。
失業認定申告書には、求職活動の状況だけでなく、就労・内職・手伝いなどについて記載する欄があります。
隠れて働くのではなく、働いた日や収入などを正確に申告しましょう。
不正受給と判断された場合には、支給停止や返還などの対象になる可能性があります。
早く再就職すると「再就職手当」がある場合も
失業保険は、最後まで受け取り続けることだけが目的ではありません。
早い段階で再就職し、一定の条件を満たす場合には「再就職手当」が支給されることがあります。
例えば、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合、基本手当日額×支給残日数×70%が再就職手当の支給額となります。
支給残日数が3分の1以上の場合は60%となります。
ただし、再就職手当には細かな支給条件があります。
「就職したら必ずもらえる」という制度ではないため、再就職が決まったらハローワークに確認しましょう。
2025年4月から変わったポイント
失業保険について調べると、古い記事もたくさん出てきます。
特に注意したいのが自己都合退職の給付制限です。
2025年3月31日以前の退職では原則2か月でしたが、2025年4月1日以降の退職では原則1か月になっています。
また、2025年4月以降は、一定の教育訓練等を受ける場合に給付制限が解除され、基本手当を受給できる制度もあります。
制度は今後も変更される可能性があるため、古い情報だけで判断しないことが大切です。
失業保険についてよくある質問
Q. 退職したら自動的にもらえますか?
いいえ。
自分でハローワークに行って求職申込みや受給手続きをする必要があります。
Q. 会社を辞めたらすぐお金が振り込まれますか?
すぐに支給されるとは限りません。
7日間の待期があり、自己都合退職では原則1か月の給付制限があります。
その後も失業認定などの手続きがあります。
Q. 何か月働けば失業保険をもらえますか?
原則として、離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です。
ただし、倒産・解雇などの場合は条件が異なり、離職前1年間に6か月以上で受給資格を得られる場合があります。
Q. 会社都合か自己都合か分かりません
離職理由について疑問がある場合は、ハローワークに相談しましょう。
離職理由について事実関係を確認したうえで、ハローワークが判断します。
失業保険の手続きで大切なこと
失業保険は、退職しただけで自動的に受け取れるものではありません。
退職したら、
離職票を確認する
↓
ハローワークで求職申込み・受給手続きをする
↓
待期期間を過ごす
↓
必要な求職活動を行う
↓
失業認定を受ける
という流れを意識しましょう。
特に、離職理由は給付制限や給付日数に関係する場合があります。
離職票の内容に納得できない場合は、そのままにせずハローワークへ相談することが大切です。
まとめ
失業保険は、仕事を辞めた後に次の仕事を探す期間の生活を支えるための重要な制度です。
今回のポイントをまとめると、
- 失業保険の正式名称は雇用保険の「基本手当」
- 働く意思と能力があり、求職活動をしていることが基本
- 原則として離職前2年間に12か月以上の被保険者期間が必要
- 倒産・解雇などでは条件が異なる場合がある
- 基本手当の金額は退職前の賃金などから決まる
- 2025年4月以降の自己都合退職は給付制限が原則1か月
- 受給にはハローワークでの手続きが必要
- 受給中の仕事は正しく申告する
- 条件を満たせば再就職手当を受け取れる場合がある
失業保険については、年齢や退職理由、雇用保険の加入期間などによって扱いが変わります。
「自分の場合はいくら?」「いつからもらえる?」と疑問に思ったら、この記事だけで判断せず、住所地を管轄するハローワークで確認しましょう。
参考情報
厚生労働省「基本手当について」
ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」

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